難症例
INTRACTABLE CASES

外歯瘻

この症例は、患者さんが虫歯を長い間放置したことによって、引き起こされた症例です。
最初に「にきびか、皮膚に出来物が出来た。」と言って、皮膚科で切開してもらっても何度でも出来て、来院されました。原因は、虫歯による根尖性歯周組織炎です。ほとんどは虫歯が原因ですが、最近では、歯周病が原因で起こった症例も経験しています。

  • 外歯瘻
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粘液のう胞

口唇または頬粘膜を噛んだりしたあと、小唾液腺の導管が詰まり、何度も腫脹を繰り返すことがあります。
ある程度は経過を見て、再発が多いときは、小唾液腺ごと取る場合があります。手術時間は、10分ぐらいですが、皮膜が薄く、1塊で取るのは難しい症例です。

ケース1

  • 粘液のう胞

    ▲口唇を何度も噛んだ後がある。

  • 粘液のう胞

    ▲摘出を慎重に行い、鈍的はく離を行う。

  • 粘液のう胞

    ▲摘出物(1塊で取る)

  • 粘液のう胞

    術後

  • 粘液のう胞

    ▲術後1週間後

ケース2

  • 粘液のう胞

    ▲何度も噛んでいるため、
    粘膜がかなり白くなっている。

  • 粘液のう胞

    摘出物
    です

ブランデン腺氏のう胞

「粘液のう胞」と同じように、小唾液腺の導管が何らかの原因で閉鎖して、何度も腫脹を繰り返すとき、やはり摘出しなければなりません。

  • ブランデン腺氏のう胞
  • ブランデン腺氏のう胞

歯根のう胞

歯根の先に膿の袋が出来る場合があります。これを「歯根のう胞」といい、放っておくとどんどん大きくなってくるので、歯ごと「のう胞」を取るか、このように歯根端切除術を施行するかは、「のう胞」の大きさと、ドクターの技量にかかってきます。

ケース1

  • 歯根のう胞

    ▲歯根の先に「のう胞」が出来ている。

  • 歯根のう胞

    ▲歯根の先と「のう胞」だけを取り出す。

  • 歯根のう胞

    ▲ハイドロキシアパタイトを欠損部に挿入。

  • 歯根のう胞
  • 歯根のう胞
  • 歯根のう胞

ケース2

ピエゾサージェリーを使用した歯根端切除術です。
超音波を利用し骨のみ削合でき、軟組織の損傷がありません。

  • 歯根のう胞
  • 歯根のう胞
  • 歯根のう胞
  • 歯根のう胞

残留のう胞

歯のみを抜歯して、置いておくと、このように外観的には問題ないように見えますが、常に腫脹を繰り返し、問題があるため、摘出しなければなりません。患者さんは、義歯不適のため来院しましたが、原因はこの部位であることがわかったため、摘出後、義歯を作成しました。

  • 残留のう胞
  • 残留のう胞
  • 残留のう胞

正中過剰歯

これは、1cm以上空いていた正中を経過をおって治療した症例です。

H17.3.9上顎正中が離れすぎているとのことで、レントゲン撮影後、根尖(根先)が完成していないので、1本抜歯し経過を見る。
H18.3.71年後、離開は少なくなったが、まだ根尖(根先)が閉鎖しておらず経過を見る。
H18.9.66ヵ月後に根尖(根先)の閉鎖を確認。あと、正中埋伏歯を口蓋倒粘膜を剥離した後、丁寧に抜歯する。
H18.10.4抜歯後1ヶ月
H18.12.6抜歯後3ヶ月
H19.7.4抜歯後10ヶ月
  • 残留のう胞
  • 残留のう胞
  • 残留のう胞
  • 残留のう胞
  • 残留のう胞
  • 残留のう胞

含歯性のう胞

含歯性のう胞(濾胞性歯のう胞)は、埋伏歯の歯冠を腔内に含むように歯冠の周囲に形成される発育性歯原性のう胞です。乳歯と永久歯の交換期にある若年者の症例では、まず原因の歯牙を正常の位置に戻すことがまずfirst choiceです。

ケース1

  • 含歯性のう胞
  • 含歯性のう胞

ケース2

含歯性が2房に分かれていて永久歯を保存できなかった症例です、歯冠がのう胞壁内に入っています。

  • 含歯性のう胞
  • 含歯性のう胞
  • 含歯性のう胞

ケース3

  • 含歯性のう胞
  • 含歯性のう胞
  • 含歯性のう胞
  • 含歯性のう胞

舌側隆起

(義歯作製時の問題になります)
舌側隆起は約10%の患者さんに認められます。
骨の過成長で普段は削合する必要性はありませんが、義歯を入れる際に舌側隆起があると痛くて入れられない時があります。
こういった場合に削合します。骨自体に病覚はありませんので、ピエゾサージェリーで削合します。

ケース1

  • 舌側隆起
  • 舌側隆起
  • 舌側隆起
  • 舌側隆起

ケース2

  • 舌側隆起
  • 舌側隆起
  • 舌側隆起

白板症(前癌病変)

白板症とは、肉眼的に口腔内の粘膜が白く見える臨床的用語です。
口腔内では舌、頬粘膜、歯肉などにみられる。病理組織的には、単に重層扁平上皮の角化異常の1つである角化亢進を起こした状態であるにすぎないにですが、悪性化することがあります。

専門的に難しく言うとこういった言い方になるんですが、一般の人にわかりやすく言うとほっぺたとか、舌を噛んでも同じ状態なんですが、そうではなく疣状、びらん(ただれ)、潰瘍または腫瘤状の病変が存在するとき、癌(扁平上皮癌)に移行する確率が4.4~17.5%ぐらいあります。それゆえ口腔内にそういった病変があるときは、1度口腔外科を受診するか、そういった経験のある医院で、病理検査してもらう必要があります。
原因は、慢性刺激とか、たばことかありますが、特にこれといった原因はありません。40歳過ぎの男性に多く発生頻度は約2.5%です。

いろいろな部位に出来ます

  • 白板症(前癌病変)
  • 白板症(前癌病変)
  • 白板症(前癌病変)
  • 白板症(前癌病変)
  • 白板症(前癌病変)
  • 白板症(前癌病変)
  • 白板症(前癌病変)

唾石症

体の管にはいろんなものが石となってできます。たとえば胆嚢にできるものは胆石、尿管にできるものは尿管結石というように・・・顎下線、舌下腺、耳下腺などを3大唾液腺というのですがその腺体または導管にできるのが唾石なんです。胆石、尿管結石どちらも経験したことはないですが、かなり苦しいものと聞いています。唾石症になったときの症状として前者のようにかなりの激痛を伴うことは、あまりありません。3大唾液腺の唾液の出てくる開口部は耳下腺では上顎大臼歯の頬粘膜のあたり、舌下腺、顎下線は舌下部の小丘のあたりと考えておいてください。唾液のでる管が唾石によってつまると唾液腺が腫れたり痛んだりします。また細菌感染を起こすと炎症がおこり膿汁がでたりします。ほとんどが顎下線(約85%)で僕自身は耳下腺(5%)の唾石は経験したことはありません。
患者さんからよく聞く主訴:なんかべろの下が腫れてきた。ごはんとかおなかがすいてくると腫れる。腫れたら痛い。なんかころころするetc→宇野歯科ではよく歯石除去の際衛生士さんが見つけることがおおいです。

治療:
①自然に出る
②唾液腺の管を少し切り唾石を出す
③深部にある場合は唾液腺ごと摘出

ケース1

5mmぐらいの唾石だが舌下部の腫脹は著明であった

  • 唾石症
  • 唾石症

ケース2

30mmを超える唾石でありまた排膿を起こしていたため即日オペとなった。
過去最高は50mmを超えるものがあったが患者さんが記念にと持って帰り写真がありません。

  • 唾石症
  • 唾石症

ケース3

唾石は1つとは限りません下のように数えきれないぐらいの時もあります。
顎下線ごとの摘出をしたかったのですがおじいちゃんに断られ摘出できる限りとった症例です。自分的には満足していないのですがおじいちゃんは唾が出るようになったと喜んでもらいました。

  • 唾石症
  • 唾石症

ケース4

顎下線ごとの摘出症例です。

唾石症

ガマ腫

ガマ腫は下顎口腔底部にある舌下腺、顎下腺の唾液の出る管に問題があり唾液の貯留によってできる嚢胞をいう。粘液嚢胞は小唾液腺、顎下腺などは、大唾液腺にわけられ、ガマ腫は後者におこる。どちらも簡単にいえば何らかの原因でフン詰まり状態になったと思っていただいたらよいとおもいます。本当に大きいやつは、ガマガエルに似ています。(イソップ童話にでてくるような・・・)

治療法は応急的には穿刺(注射器で吸い出す)、切開、これは再発率70%ぐらい、開窓法で5%ぐらいです。
良性の唾液の袋なんですが、再発率が高く、あかん時は唾液腺ごととるのが1番いいと思います。
鑑別診断として類表皮嚢胞、表皮嚢胞があげられますが、口腔外科医が見ればすぐわかります。

ケース1 穿刺による治療

  • ガマ腫
  • ガマ腫

    穿刺による内溶液(血が混じっているが本当は透明、粘ちょう性)

  • ガマ腫

ケース2 開窓法

  • ガマ腫
  • ガマ腫

口腔癌

腫瘍は良性腫瘍と悪性腫瘍に分けられますが、そのうち悪性のものを「がん」と呼び、 皆さんが知ってのとおり死に至ることの多いとても怖い病気です。
口に関連して起こるがんは全体の約5%で、がんもまた種類分けされ「肉腫」「癌腫」と発性由来において分けられます。

私たち開業医がこれらに対して手を下す事は無く、早期に発見し専門医に送ることが必要とされ、そのためどんな小さな潰瘍でも難治性の潰瘍なのかがん病変なのか鑑別、そして見逃さないための目が大事だと思います。

発生する部位は舌、頬粘膜、歯肉、口蓋、口腔底、口唇とさまざまで患者さんが自己判断することは難しいと思われますのでまずは見せてもらうことが大事だと思われます。

ケース1 口腔底癌

  • 口腔癌

    症例1

  • 口腔癌

    症例2

ケース2 舌癌

  • 口腔癌

    症例1

  • 口腔癌

    症例2

ケース3 口唇癌

  • 口腔癌

ケース4 歯肉癌

  • 口腔癌

約30年近く仕事をしていますが、3年に1人ぐらいの割合で、口腔外科に紹介することがあり、
小さいうちに発見できるのもあれば、初診で来られその時すでにかなり大きくなってしまっているのもあります。
手術、放射線療法、化学療法など小さいうちであればかなりの選択肢がありますので定期的に歯科医院を受診するのも1つの方法です。

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